世界観を変える映画

名作映画『いまを生きる』とは?

今日紹介する映画は、『いまを生きる』(原題: Dead Poet Society)です。ものすごくオススメします!

Dead Poet Society

Copyright© Touchstone Pictures, Dead Poet Society

『いまを生きる』あらすじ

あらすじ


全寮制のエリート高校に、型破りの教師キーティングが就任します。厳しい高校生活を、なんとか自分を殺してまでも耐え抜いて後で好きなように生きればいいと考える学生たちに、キーティングは「いまを生きろ」と熱く語りかけます。しかし、悲しい出来事が彼らを待ち構えていたのでした・・・。

『いまを生きる』予告編


From: UsSkyPic, Upload Date: 2014/08/12

『いまを生きる』カーペ・ディエムのシーン(スクリプト)00:11:17-00:21:01

ラストシーンにも!Oh Captain, My Captain

KEATING: Well come on.
ほら、ついて来て!

KEATING: "Oh Captain, My Captain" Who knows where that comes from?
「おお船長!我が船長!」誰かこの引用先を知る者は?

KEATING: Anybody? Not a clue? It's from a poem by Walt Whitman about Mr. Abraham Lincoln.

誰も?見当もつかない? これはウォルト・ホイットマンの詩だ。エイブラハム・リンカーン大統領について書いた詩だよ。

Now in this class you can call me Mr. Keating. Or, if you're slightly more daring, Oh Captain, My Captain.
このクラスでは、私のことを「キーティング先生」と呼んでもいいし、もしくは、もし君たちが少しでも大胆なら「おお船長!我が船長!」と呼んだっていいんだよ。

Walt_Whitman

出典: Wikipedia (Public Domain), Walt Whitman

"Oh Captain, My Captain"は、セリフにあるように、Walt Whitman(1819年5月31日生まれー1892年3月26日)が書いた詩です。この詩は、リンカーンが暗殺された年、1865年に書かれました

1連目

O Captain my Captain! our fearful trip is done;
ああ船長 わが船長! 恐ろしい航海は終わりです。

The ship has weather'd every rack, the prize we sought is won;
船はあらゆる苦難を乗り切り、目的は達成しました。

The port is near, the bells I hear, the people all exulting,
港は近づき、鐘の音が聴こえ、群衆は歓喜しています。

While follow eyes the steady keel, the vessel grim and daring:But O heart! heart! heart!
皆の見つめる先は頑丈なキール、不屈で勇敢な船。ところが、なんてことだろう!

O the bleeding drops of red,
真っ赤な血が滴り

Where on the deck my Captain lies,
甲板に船長が横たわり

Fallen cold and dead.
冷たくなって死んでいます

 

2連目

O Captain! my Captain! rise up and hear the bells;
ああ船長 わが船長!立ち上がって鐘の音を聴いてください。

Rise up—for you the flag is flung—for you the bugle trills;
立ち上がってください。貴方のために旗が振られ、ラッパが鳴っています。

For you bouquets and ribbon'd wreaths—for you the shores a-crowding;
貴方のために花束と花輪が、貴方のために海岸に群衆が詰め掛けています。

For you they call, the swaying mass, their eager faces turning;
貴方のために群衆は呼びかけ、群がっています。真剣な面持ちで振りかえります。

Here Captain! dear father!
船長!わが父よ!

This arm beneath your head;
この腕が貴方の頭を支えているなんて。

It is some dream that on the deck,
悪夢だ 甲板で

You've fallen cold and dead.
貴方が冷たく鳴って死んでいるなんて。

 

出典:Wikipedia (Public Domain), Abraham Lincoln November 1863

 

3連目

My Captain does not answer, his lips are pale and still;
船長は応えず、唇は青白く閉じたまま

My father does not feel my arm, he has no pulse nor will;
わが父は私の腕を感じることもなく、脈も最期の言葉もない。

The ship is anchor'd safe and sound, its voyage closed and done;
船は無事に錨を下ろし、航海は幕を閉じました。

From fearful trip, the victor ship, comes in with object won;
恐ろしい航海を終え、勝利の船は目的を勝ち取り、帰還しました。

Exult, O shores, and ring, O bells!
歓喜せよ!海岸よ!鳴り響け!鐘の音よ!

But I, with mournful tread,
だが私は悲しみに沈む足取りで

Walk the deck my Captain lies,
甲板を歩くのです。わが船長が

Fallen cold and dead.
冷たくなり死んでいる甲板を。

 

キーティング先生の学生時代

 

KEATING: Now let me dispel a few rumors so they don't fester into facts.
さて、私について噂がいろいろ飛び交っているみたいだが、私の口から言わせてもらおう。でないと、どんどんひどいことになってしまうからね。

Yes, I too attended Hell-ton and survived.
そう、確かに、私も君たちと同じ高校出身だ。この地獄の学校に耐え、生き延びてきた。

ココがポイント

学校名がウェルトンなので、ヘル(地獄)トンと韻を踏んでいる。
キーティングはこの学校の卒業生だったことを明かす。

KEATING: And no, at that time I was not the mental giant you see before you.
噂と違うのは、当時の私は、今君たちの目の前にいるような「知的な巨人」じゃなかった。

I was the intellectual equivalent of a ninety-eight pound weakling.
私は体重45キロしかない「知的な弱虫」だったんだ。

I would go to the beach and people would kick copies of Byron in my face.
ビーチに行くと、みんなが私の顔にバイロンの詩集を投げつけたものだったよ。

さらに詳しく

1 pound = 0.454kg
98 ponds × 0.454kg = 44.492kg
まあ、なので、45キロと訳しました。

George Gordon Byron (1788-1824) イギリスの詩人

出典:Wikipedia(Public Domain), Portrait of Lord Byron

 

「時を大切に」

 

KEATING: Now, Mr… Pitts.じゃあ、そうだな、ピッツ君。

That's a rather unfortunate name. なんだか気の毒な名前だな。

Mr. Pitts, where are you?
ピッツ君、どこにいるかね?

KEATING: Mr. Pitts, would you open your hymnal to page 542 and read the first stanza of the poem you find there?
ピッツ君、君の讃美歌集の542ページを開いて、そこにある詩の最初の連を読んでくれ。

PITTS: "To the virgins, to make much of time"?
「処女たちよ、時を大切に」ですか?

KEATING: Yes, that's the one. Somewhat appropriate, isn't it.
そうだ。君たちにぴったりだろう?

PITTS: "Gather ye rosebuds while ye may,
「薔薇のつぼみを摘みなさい あなたが摘める間に

old time is still a flying,
老いた時の神はいつも慌ただしく飛んでいく

and this same flower that smiles today,
今日微笑むこの花も

tomorrow will be dying."
明日には枯れてしまうだろう」

さらに詳しく

この詩はRobert Herrick (1591-1674)の作品。

出典:Wikipedia (Public Domain), Robert Herrick

To the Virgins, to Make Much of Time

Gather ye rosebuds while ye may,
Old Time is still a-flying:
And this same flower that smiles to-day
To-morrow will be dying.

The glorious lamp of heaven, the sun,
The higher he's a-getting,
The sooner will his race be run,
And nearer he's to setting.

That age is best which is the first,
When youth and blood are warmer;
But being spent, the worse, and worst
Times still succeed the former.

Then be not coy, but use your time,
And while ye may, go marry:
For having lost but once your prime,
You may for ever tarry.

出典:Wikipedia (public Domain), "Gather Ye Rosebuds While Ye May" by John William Waterhouse

上記は、John William Waterhouse (1849-1917) が、1909年に描いた "Gather Ye Rosebuds While Ye May" というタイトルの絵画です。

ラテン語「カーペ・ディエム」とは?

 

KEATING: Thank you Mr. Pitts.
どうもありがとう、ピッツ君。

"Gather ye rosebuds while ye may.
「処女たちよ、時を大切に」。

The Latin term for that sentiment is Carpe Diem.
このような情趣をラテン語で「カーペ・ディエム」と言うのだが。

Now who knows what that means?
意味を知っている者は?

MEEKS: Carpe Diem. That's "seize the day."
「カーペ・ディエム」それは「いまを生きろ」という意味です。

KEATING: Very good, Mr.-
大変よろしい。えーっと。

ココがポイント

「今を生きる」の訳

ラテン語:Carpe Diem

英語:Seize the day

MEEKS: Meeks.
「ミークス」といいます。

KEATING: Meeks. Another unusual name.
ミークス君だね。また、変わった名前だな。

Seize the day. "Gather ye rosebuds while ye may."
いまを生きろ.「薔薇のつぼみを摘みなさい あなたが摘める間に」

Why does the writer use these lines?
なぜ詩人はこう書いたのだろうか?

CHARLIE: Because he's in a hurry.
急いでいたからです。

KEATING: No, ding!
ぶー!大外れ!

 

KEATING: Thank you for playing anyway.
でも、答えてくれてありがとう。

Because we are food for worms, lads.
いいかい、君たち。なぜ詩人がこう書いたかというと、私たちはウジ虫のエサとなるからだ。

Because, believe it or not, each and every one of us in this room is one day going to stop breathing, turn cold, and die.
信じようと信じまいと、この部屋にいる私たち全員が、いつか呼吸をやめ、冷たくなり、死ぬからなんだ。

Now I would like you to step forward over here and peruse some of the faces from the past.
さあ、ちょっと一歩前に来てくれたまえ。昔の学生たちの顔をじっくりと見てみようじゃないか。

You've walked past them many times. I don't think you've really looked at them.
ここの前を何度も歩いたと思うが、じっくり見たことはないだろう。

 

KEATING: They're not that different from you, are they? Same haircuts. Full of hormones, just like you.
どうだい?君たちとあんまり変わらないだろう?君たちと同じ髪型だ。君たちと同じように、ホルモンの塊だ。

Invincible, just like you feel. The world is their oyster.
君たちと同じように「怖いもの知らず」だ。この世は思いのままだって思ってる。

They believe they're destined for great things, just like many of you.
昔の学生たちも、君たちと同じように、偉業を成し遂げられると信じてる。

Their eyes are full of hope, just like you.
目を見てごらん。君たちと同じように希望に満ちているだろう?

Did they wait until it was too late to make from their lives even one iota of what they were capable?
生きている間に自分が出来ることを、少しでもやり遂げようとしているときに、「もう時既に遅し」ってときまで、彼らが待っていたかと思うかい?

Because you see gentlemen, these boys are now fertilizing daffodils.
いいかい、君たちがいま見ているように、この学生たちはラッパスイセンの肥料となったんだ(注:「死んだ」ということ)。

But if you listen real close, you can hear them whisper their legacy to you. Go on, lean in.
だけど、耳を澄ましてみると、彼らが君たちにささやいてくる。彼らの遺産だよ。さあ、身を乗り出して聴いてみて。

Listen. Hear it? 聴こえたかい?

Carpe. Carpe. Carpe Diem. Seize the day boys, make your lives extraordinary.
カーペ・ディエム。いまを生きろ、青年よ。君の人生を特別なものにするんだ」

 

PITTS: That was weird.
なんか変なかんじ。

NEIL: But different.
でも、独特だったよ。

KNOX: Spooky if you ask me.
気味が悪いよ。俺に言わせればさ。

CAMERON: Think he'll test us on that stuff?
テストに出るかな?

CHARLIE: Come on Cameron, don't you get anything?
おい、キャメロン。まったく分かっちゃいないな。

CAMERON: What? What?
え、なんでだよ。

・・・いますよね。

「カーペ・ディエム」今を生きる

いかがだったでしょうか?

若いときは、きっとどこかで、「時間は永遠にある」ような錯覚に囚われるのではないでしょうか。

でも、私たちは必ず死にます。当り前、ですよね。「え、マジで?」って驚く人は、当然いないと思います。

でも、悲しいことに、なかなか実感することがない。あるいは、無意識に考えることを避けてしまいます。

そして、時間には限りがあるんだって、心から実感したときに後悔することも少なくありません。

自分は「いま」を生きているでしょうか。自分は「幸せ」を感じているでしょうか?「幸せ」を追い求めているでしょうか?

幸せは、「いま」「ここで」体験しない限り、永遠に経験することはないのに、自分を殺して、いまは我慢するしかないってあきらめていませんか?

出典:Wikipedia (Public Domain, Tangopaso), Carpe Diem

幸せを先延ばしにしたら、またきっと先延ばしにすることになるって本当は気づいているのではないでしょうか。

(煽ってしまったかもしれませんが、決して決して無茶なことはしないでくださいね。そして、すぐに叶わないからといって、絶望しないでくださいね。この映画を最後まで観た方は、この意味が分かってくださると思うのですが・・・。)

えらそうなことを言ってしまいました。でも、いつものことですが、こう言うことで、自分に言い聞かせているのです。

「カーペ・ディエム」(今を生きる)を真に理解するために

Carpe Diem (Seize the day: いまを生きる) を真に理解することは、実は結構難しいと思います。恥ずかしいことに、分かった気になってしまった時期が私にはありました。

「大好き!」と「中毒」の違い

「ドラッグ最高!カーペ・ディエム!」

「明日のことを心配するのをやめて、パチンコに全財産つぎこむぞー!おー!」

「今を生きろ?じゃあ、私、タバコだ大好きだからガンガン吸いまくるわ!」

「ジャンクフード大好き!添加物たっぷりのポテトチップスとアイスクリームを今日のお夕飯にしよっと♡ 人生って素晴らしい!」

…なんか、明らかに違いますよね。

この「今を生きる」という言葉は、享楽的に生きることを推奨している訳ではありません。ずっと続けていると確実に人生を滅ぼすと予想できるもの(上記のような中毒性の高いもの等)はやめるべきです。それは「心から好きな行為」なのではなく、「中毒」になっているだけで、人生を豊かにしてくれません。

上記のような中毒性のある行動をした後、いやな感じがしたり、後悔したり、自分のことを激しく嫌いになったとしたら、その行動は「大好きだから」ではなく、「中毒」です。

未来の夢のために生きることだって「今を生きる」

「今を生きる」ことは、未来のために犠牲になることではないけれど、自分の夢に向かって挑戦することも「今を生きる」ことです。努力している間、大変な時もありますが、同時に至福や達成感を感じることもありますよね。

過去の呪縛を解き放すことも「今を生きる」

「今を生きる」ことは、過去からの束縛を解き放すことでもあります。今まで、過去に何か苦痛を伴う経験や出来事があったかもしれません。「その出来事は変わらない。だから自分は変われない。」という発想から帰る必要があります。

ココに注意

「過去の出来事に対する自分の認識・考え方は変えられる」

自分はどう過去を認識するのか、私たちは選択することができます。そうすれば、忌まわしい過去があったとしても、そこから自由になる道が開けてきます。

誰かのためではなく、自分のためが「今を生きる」

それから、「今を生きる」ことは、誰かの希望を叶えるために生きるのではなく、搾取されずに自分の望む人生を送ること。誰かのために自分を犠牲にして生きなくても、自分は存在価値があり、ありのままの自分でも愛されていることを実感できることでもあります。

まとめ

Carpe Diem という言葉を初めて知ってからずいぶんと長い年月が経ちました。それでも、この言葉は色褪せることがありません。

そりゃそうですよね。この言葉は古代ローマ詩人ホラティウス(紀元前65-8)が語った言葉なのですから。2000年以上も生き延びて、人に勇気を与えてきた言葉、なのです。

出典:Wikipedia (Public Domain), Quintus Horatius Flaccus

この言葉が、いまこの記事をを読んでくださっている方にも、勇気と希望を与えてくれればいいなと心から願っています。

 

長い文章を最後まで読んでくださって、ありがとうございました。

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